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知の巨人たち(2014年)・三島由紀夫 [昭和(戦後)]

NHK「知の巨人たち」2014年 第7回 三島由紀夫

戦後の日本を代表する文学者としてノーベル賞候補にもなった三島由紀夫。2015年に生誕90年・没後45年を迎える。三島は、太平洋戦争と戦後復興を経験し、大学紛争に揺れる激動の時代を生きながら、話題作・問題作を次々に発表した。そして昭和45年、自衛隊の市ヶ谷駐屯地で割腹し命を絶つ。 三島は昭和という時代に何を見たのか。親しく交流したドナルド・キーンさんや美輪明宏さん、三島が結成した“楯の会”会員や、三島と激論をかわした東大全共闘メンバーなど、様々な証言からその思索に迫る。さらに、近年、研究が進む創作ノートからは、遺作『豊饒の海』の幻のラストシーンの構想が明らかになった。三島は、遺作の結末をどのように書き変えたのか。文学者・三島由紀夫が残したメッセージを戦後史の中で考える。


■ 放映日
2015年1月24日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年1月31日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)

■ 関連サイト
http://www.nhk.or.jp/postwar/program/past/

■ 感想

映像として残る三島由紀夫自身や関係者がふんだんに取り入れられて見応えのある番組。

有名な市ヶ谷での騒然とした中での演説のシーンも結構長い。東大全共闘のメンバーたちとの対話も、メンバーの側の方が出演されていたのも貴重かも。

NHKの番宣が語るように「文学者・三島由紀夫が残したメッセージを戦後史の中で考える」の中の「メッセージ」が解明されていたかどうかは十分ではないように思うが、戦前から戦後にかけて生きた人物として、戦後の日本に疑問を持っていたという流れがきれいに描かれていたと思う。



戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす (角川新書)

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  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/11
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タグ:戦後史

太郎の国の物語/司馬遼太郎 [昭和(戦後)]


NHKスペシャル「太郎の国の物語」司馬遼太郎 [DVD]

NHKスペシャル「太郎の国の物語」司馬遼太郎 [DVD]

  • 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
  • メディア: DVD


『太郎の国の物語』は、1989年にNHKスペシャルで放映された番組。

太郎とは日本のことのようだった。司馬遼太郎氏が明治維新、明治という国家を通して日本を考えるといった仕立て。

最近司馬遼太郎氏は、右翼からは昭和期を悪者扱いしていると責められ、左翼からは明治維新をほめすぎ、または、日露戦争を華々しく描き過ぎと責められ、あっという間に評価が低下しているように思う。

しかし、今考えてみると、確かに「坂の上の雲」はあまりにも日本側の状況をドラマチックにしすぎたかもしれない(その上で国際情勢に対する考慮が偏しているか、または、圧倒的に不足している)が、だからといって、そのまま手放しに褒めているわけではないと思うのだが・・・。

そもそも、氏の底には昭和期の最初の20年ぐらいの日本に対する非常に強い批判があるわけで、それでいえば、どうしてこんなに苦労して作った国をあんなにみじめな思いをさせたのだという斬鬼の念のようなものがあるというところではなかろうか。

私は、司馬さんが語る明治には上の人、権力を取った側がさっさと国家の政治体制を変革した話じゃなくて、そのいちいちの変化に振り回される人々の苦労が描かれていて非常に心を揺さぶられるものがある。夏目漱石、滝廉太郎といった人のエピソードはとりわけしんみりしてしまう。

Amazonの書評欄にも、このDVDの発売を待っていたという人のコメントがあるが、私もまったく同じ気持ち。

NHKの短い解説はここ。

トークドキュメントシリーズ 太郎の国の物語
http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-special/library/library_taro.html


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タグ:明治
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日航ジャンボ機事故:空白の16時間~"墜落の夜"30年目の真実/NHKスペシャル [昭和(戦後)]

日航ジャンボ機事故:空白の16時間~"墜落の夜"30年目の真実
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犠牲者520人、生存者4人。単独の航空機事故としては史上最悪となった日航ジャンボ機の墜落事故から8月で30年。事故原因が様々な角度から検証されてきた中で、ほとんど顧みられてこなかったのが群馬県御巣鷹山の墜落現場を発見するまで関係機関の動きである。 墜落から生存者確認までに要した時間は、国内の事故としては異例の長さとも言える「16時間」。さらに救えた命は本当になかったのか。各機関の内部資料や当事者たちの初めての証言から、様々な事実が浮かびあがってきた。 番組では、これまで明らかにされてこなかった事実の発掘を通して、巨大事故が日本社会に今なお突きつけているものを凝視していく。


■ NHK公式ページ
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0801/

■ 放映日
2015年8月1日(土)
午後9時00分~9時49分

■ 感想

1985年8月12日、日航機123便が群馬県に墜落した事件で、関東圏に墜落したのにもかからず一晩中どこに墜落したのか位置が不明だった。番組はなぜ不明だったのかを検証したもの。

率直にいって、なんという国なんだろうと思った。なぜなら、内容を見ればわかるが、どこにもとりたてて新しい事実はない。つまり、こんなことは1985年にもできたことなのだ。

だから、むしろなぜ30年間それができなかったかの方がずっと大きな問題だと思う。

冒頭の絵は、第一通報者の方が見えたものを描いたというもの。この方は長野県側の川上村の方で、畑仕事をして空を見上げると飛行機が見え、すぐその後にいつも見ている空と山の向こう側が光、ぶわっと絵具を散らしたように煙があがった、という一部始終をご覧になっていた。

そして、そこから10分もたたないうちに交番に通報している。

ここから捜索をしたのなら、見える範囲は限られているのだから事故が起こったのは山の向こうの群馬側であることはまったく疑問の余地もなかっただろう。

しかし事実は、長野県の北相木村という西に大きくずれたあたりが一晩中語られていて、一晩中位置が特定できなかった。

考えるだにいろいろな意味で恐ろしい事件だ。

■ 感想2

思わずカッとしてしまったが、それは私自身あの日の夜、ずっとテレビをつけて成り行きを見ていたことを記憶しているからだと思う。その中で、どうして場所がわからないのかが非常に不思議だった。少女時代のことだが、非常にはっきりと、なぜ場所がわからないのと何度も思った。

おそらくそう思った一つの理由は、わりと早い時間に自衛隊機が百里基地から出たというニュースを聞いたからだろうと思う。茨城県に親戚がいたので百里基地というのが霞ヶ浦の近くにあるというのは既に知識の中にあり、あそこから長野、群馬ということは東京を通るのかななど頭の中で想像した記憶もある。なんだかわからないがこういう飛行機が出ていくということは、なんだかきっと大変なことなんだろうと思ってかなりドキドキしていた。

そのうち、場所がわからないという話になり、え、でもきっと墜落場所は燃えているのに、自衛隊の飛行機が出て行ってもわからないものなのか・・・など思ったが、一晩あけて翌日は生きてらした方がいたというニュースとなり、それからは別の方向に気を取られてすっかり忘れていた。

そして大人になってからいろんな陰謀論があるのを知った。しかし、私としては、位置情報がわからないというより、だいたいの位置はわかっていたが山の中に入る具体的な登山ルートが見つからないから警察、自衛隊の人たちがなかなか近づけなかったという話ではないのか、などと考えてきた。

しかし、どうもそういうことではないようなのだ。

多分、NHKが知っているもの、持っているものを全部出すだけでいろんなことがわかると思う。まるで他人事のNHKに今私は無性に腹をたてている。



日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ

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  • 出版社/メーカー: マガジンランド
  • 発売日: 2010/04/29
  • メディア: Kindle版




日航123便 あの日の記憶 天空の星たちへ

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  • 作者: 青山透子
  • 出版社/メーカー: マガジンランド
  • 発売日: 2010/04/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





原爆投下 活かされなかった極秘情報 / NHKスペシャル [昭和]

広島・長崎あわせて20万を超える人々の命を奪った原子爆弾。これまで日本は、アメリカが原爆攻撃の準備をしていることを知らないまま、“想定外”の奇襲を受けたとしてきた。しかし実際は、原爆投下に向けた米軍の動きを事前に察知していたことが、新たな証言と資料から明らかになってきた。日本軍の諜報部隊が追跡していたのは、テニアン島を拠点に活動するある部隊。軍は、不審なコールサインで交信するこの部隊を、「ある任務を負った特殊部隊」とみて警戒していたのだ。 8月6日、コールサインを傍受した軍は、特殊部隊が広島に迫っていることを察知。しかし、空襲警報さえ出されないまま、原爆は人々の頭上で炸裂した。そして9日未明、軍は再び同じコールサインを傍受、「第2の原爆」と確信した。情報は軍上層部にも伝えられたが、長崎の悲劇も防ぐことはできなかった。 http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20110806

■ 放映日
2011年8月6日(土)
午後9時00分~9時58分

■ 参考記事
この番組の内容を文字起こしされた方が何人もいらっしゃる。やっぱり衝撃的な内容ですよね、これは。

リンクさせていただきます。

NHK「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」を見て。
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/00000.html

原爆投下を日本陸軍は知っていた▼NHKスペシャル(8月6日)
http://blogs.yahoo.co.jp/kawachikakekomian/11117117.html

■ 感想

この話は、これだけ見ると日本の軍は原爆に関する情報を傍受、推論できていた(つまりインテリジェンス組織が活躍していた)のに残念でした、で終わってしまう。

しかし、そういうことではなくてこの話は日本(の指導者たち)はどのように戦争を終結させようとしていたのかという大きなピクチャーの一部なんだろうと思う。でもって、私たちは実はその話をよく知らされていない。

この番組が放映されてから4年経ったが、日本はこの問題を発展させていけるものなのか。



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司馬遼太郎の遺産 [昭和]

司馬遼太郎の遺産

1996年のETV特集で放映されたもの。

■ETV特集 シリーズ「司馬遼太郎の遺産」 第1回 「歴史からの視線~日本人は何ものか~」
(1996年4月1日放送 44分)
自らの敗戦経験を出発点に司馬遼太郎が終生追い続けた「日本とは」というテーマを、歴史・紀行作家、また批評家としての3つの側面から読み解き、遺産というべき「肉声」を伝えていく3回シリーズ。第1回は、作家としての個人史に深く関わる歴史文学の魅力と国家観を探っていく。


■ETV特集 シリーズ「司馬遼太郎の遺産」 第3回 「この国の行く末~現代日本への遺言~」より「二十一世紀に生きる君たちへ」
(1996年4月3日放送)
司馬さんは1987年の「韃靼疾風録」を最後に小説から離れ、随筆や評論を中心に現代社会にむけての発言に力を入れるようになった。そこには、日本という国の行く末に対する危惧があった。 1989年小学校の教科書向けに掲載された「二十一世紀に生きる君たちへ」は、未来を託す子どもたちへの思いが込められている。シリーズの締めくくりで紹介された佐藤慶さんの朗読に改めて耳を傾ける。


■ NHKアーカイブス
http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-archives/past/2013/131208.html

■ 感想
司馬遼太郎は、坂本龍馬の発掘というより想像、坂の上の雲等、明治期の日本の英雄的な人物、振舞いを多くの国民に伝えたことにより、いわゆる国民的作家だった。

しかし、昭和という国家に対する厳しい姿勢も有名。

それが故に、右派からは後者が「自虐的」として叩かれ、左派からは前者の作品群によって叩かれるという妙な位置にいる。

ここにあげた映像はあきらかに後者。特に第1回に、昭和という時代(むろん昭和20年まで)の異質さについて語る司馬は今でも苦しそうで、そして悔しそうだ。

どうしてこの作品のことを思い出したかといえば、最近の安倍政権およびその支持者の中に、その司馬が憎んだ昭和という時代を素晴らしくて日本人が帰るべき時代のように語る人が散見され、驚いているから。


「昭和」という国家

「昭和」という国家

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 単行本




「明治」という国家〈上〉 (NHKブックス)

「明治」という国家〈上〉 (NHKブックス)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 単行本




「明治」という国家〈下〉 (NHKブックス)

「明治」という国家〈下〉 (NHKブックス)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 単行本





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「玉音放送」の原文と現代語訳 [昭和]

昭和20年8月、昭和天皇がラジオを通じて国民に終戦を告げた「玉音放送」の(ぎょくおん)音声を記録したレコード盤「玉音盤」の原盤が、戦後70年を経て音声とともに初めて公開されました。 「玉音盤」は、昭和天皇が、ラジオを通じて国民に終戦を告げるため、終戦前日の昭和20年8月14日に録音し、翌15日正午からのいわゆる「玉音放送」に使われました。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150801/k10010174441000.html

朝日では、この原文に現代語訳がついていた。これはとても良い試み。

「玉音放送」の原文と現代語訳
http://www.asahi.com/articles/ASH7G3JDXH7GUTIL021.html

<以下引用>
私は、深く世界の情勢と日本の現状について考え、非常の措置によって今の局面を収拾しようと思い、ここに忠義で善良なあなた方国民に伝える。

私は、日本国政府に、アメリカ・イギリス・中国・ソ連の4国に対して、それらの共同宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告させた。

そもそも、日本国民の平穏無事を確保し、すべての国々の繁栄の喜びを分かち合うことは、歴代天皇が大切にしてきた教えであり、私が常々心中強く抱き続けているものである。先にアメリカ・イギリスの2国に宣戦したのも、まさに日本の自立と東アジア諸国の安定とを心から願ってのことであり、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより私の本意ではない。

(中略)

それなのになお戦争を継続すれば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、さらには人類の文明をも破滅させるに違いない。そのようなことになれば、私はいかなる手段で我が子とも言える国民を守り、歴代天皇の御霊(みたま)にわびることができようか。これこそが私が日本政府に共同宣言を受諾させるに至った理由である。

私は日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。日本国民であって戦場で没し、職責のために亡くなり、戦災で命を失った人々とその遺族に思いをはせれば、我が身が引き裂かれる思いである。さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、職業や財産を失った人々の生活の再建については、私は深く心を痛めている。
(後略)

<引用終了>


そういう言い方も不敬だと知りながらあえていえば、よくよく考えられた良い文章だと思う。

おそらく、少しずつ、戦争をはさんだ様々な出来事に関して、つまり歴史について風通しがよくなっていくんじゃないかと思う。


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真言宗最高儀式、最古の映像DVD化 東寺の後七日御修法 [通史]

真言宗最高儀式、最古の映像DVD化 東寺の後七日御修法
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150106000091

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京都市南区の東寺(教王護国寺)で毎年1月8日~14日に行われる「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」は、真言宗最高の儀式と言われる。このほど、1936(昭和11)年の儀式の様子を撮影したフィルムがDVD化された。  真言宗山階派(大本山・勧修寺、山科区)が16ミリフィルムで撮影した映像を、真言宗各派総大本山会(事務局・東山区)がDVD化した。後七日御修法の映像としては、確認されている中で最古という。  音声のない約12分の映像で、京都御所から始まり、天皇の「御衣(ぎょえ)」を唐櫃(からびつ)に納めて東寺境内の灌頂院に運び入れる場面や、儀式の後に御衣を京都駅から汽車で東京に運び、皇居まで担ぐ様子が映る。その前年に完成したばかりの東海道線の大宮跨線(こせん)橋や、五重塔の5階から撮影した京都の町並みも分かる。


これは見たいですね~。素晴らしいものが残されているものです。
撮影は失敗が許されないということで、プロである「マキノ映画」などのカメラ技師石本秀雄氏によって行われたそうです。


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タグ:仏教

相馬野馬追 [戦国]

相馬野馬追:騎馬武者たちの勇壮な姿に歓声 福島
毎日新聞 2015年07月26日 20時59分(最終更新 07月26日 22時11分)
http://mainichi.jp/select/news/20150727k0000m040041000c.html20150727k0000m040038000p_size8.jpg

毎年この時期になると福島県相馬で野馬追という勇壮な行事が行われる。

この行事はしばしば神事と言われるのだが、神事というより普通に武士の時代の軍事訓練だろう・・・といった趣。私も見に行ったことがあるんだけど、仕立てとしては、戦(いくさ)を前にして兵が集って信心している神様にご挨拶して気合を入れ出陣式を執り行い、その後町を練り歩き、戦場に赴き、そこでいわゆる甲冑競馬が行われ、そこでは神旗争奪戦というこれまた教練のハイライトのような行事が行われる、といった流だった。

ではなぜ「神事」と言われるのかといえば、どうも、江戸時代に入ると武から文に移っていくので一般的に軍事教練などまかりならんということになる。その際に、いやいやこれは妙見様へのお供えじゃて、とかなんとか言って神事として行うことが許されていたという成り行きからだという。

いやしかし、一度行ってみればわかるけど、騎馬の武者(に扮したおじさんたちなんだけど)がずらずらと通りを練り歩いている様も、アイドルが歩くみたいなああいう嘘臭さが全くない、地味一本やりなところがかえって勇壮だし、雲雀が原という戦場に見立てた場所も広々とした本当の原っぱで、そこで行われる甲冑競馬という、甲冑着た人たちによる競馬も掛け値なくマジ。

勝った武者が小高い場所に駆け上がってきてそこでご褒美かなんかもらうんだけど、ここを駆け上がってくる姿がまたカッコよかった(たまたま私はここが見える場所で観覧していた)。

お祭りというよりは軍事教練色が濃厚に残っていてそれが故に素晴らしい。いや、私はそう思うし、それが面白くて非常に感心したのだけど、おそらくそれが故に、いつの時代も、いやいやこれは神事、これは伝統、そんな物騒なものではありません、おーほほ、というカバーが必要なんだろうと思った。

ついでにいえば、行った時に地元の人にお話しを聞いたところによれば、相馬家の代々の方が参加されることもあるんだそうだ(毎年必ずということではないらしい)。やっぱりお殿様が出てこなければ集団としてのまとまりがないものなぁと私は思ったが、しかし、ということは参加者のアイデンティティはやっぱり「その相馬」なんだろうなとかも思った。つまり、市長のいる相馬ではなくお殿様のいる相馬こそ本当のアイデンティティー、と。

しかし、いやこういうことを言うとなんだか物騒なので、さらに、いえいえこれは神事です、伝統です、ええ、まさに神事です、という穏やかなカバーが必要だということになるでしょう。

考えれば考えるほど面白いと思いました。

いずれにしても戦国ファンの方必見です。しかし、一方で、間違っても大規模な観光化されてほしくないという気持ちもありますねぇ~。密かにさりげなく見たい人が見学に行くのがいい行事だと思う。なんにしても、よくぞここまで続いたと感心させられること大です。


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タグ:戦国

核を求めた日本/NHKスペシャル [昭和(戦後)]

NHKスペシャル
スクープドキュメント 核を求めた日本
初回放送日:2010年10月3日放送 放送時間:49分

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2010年9月、国連で「核廃絶」をめぐる外相会合が開かれた。唯一の被爆国・日本は、その役割を今あらためて問われている。日本の国是となっている「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則。その信頼を揺るがしかねない“新たな事実"が明らかになった。1960年代後半、日本政府が核兵器の保有について極秘裏に検討を進めていたのだ。「非核三原則」の裏側で、日本は核と、どう向き合ってきたのか。独自に入手した極秘文書と、当事者たちの証言から検証し、核廃絶に向けて日本の果たすべき役割を問う。


■ NHKの公式ページ
http://www.nhk.or.jp/peace/library/program/20101003_01.html

■ 放映日
2015年7月18日(土)
午後9時00分~9時49分

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■ メモ

西ドイツと日本が核兵器について話し合ったことがあるとされるのは1969年。
主要人物は村田良平氏とエゴン・バール氏。

村田良平
参照:wiki

西ドイツ  
エゴン・バール
参照:wiki

■ 感想

日本が核を保有したいと念願している、事実上保有していると諸外国は結構長い間そう思っている。
問題は、それはしかし国際条約の枠組みの中では決して合法的ではない(日本は自らNPTに入ったわけだし)。

そして、もう一つの問題は、日本国民の多くは自分たちが核保有国であるとも、近似的に保有しているとも思っていないこと。

この問題は2018年の日米原子力協定がらみでおそらく今後問題になるのだろう。ドイツは、その後核シェアリングの道を歩み、原発を将来的に全廃すると言っていることからも自国が保有するというオプションは取らないと宣言しているのだろうと思う。

■ 書籍

”核”を求めた日本 被爆国の知られざる真実

”核”を求めた日本 被爆国の知られざる真実

  • 作者: 「NHKスペシャル」取材班
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/01/18
  • メディア: 単行本





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タグ:戦後史

日本「神社」総覧 [通史]

ふと、最近面白くて大型で気合の入ったムック本をあんまり見なくなったような気がしていた。単に勘違いなのか、それとも書店が売れる本しかおかなくなったからなのかなど考えたいたが、ふと思い出して、新人物往来社、を検索。

なんと、2年も前になくなっていたのね! 知りませんでした。『歴史読本』も季刊になっていたのね。

いろんな事典シリーズを購入してそのうちの何冊かは実家のどこかに埃をかぶってあるはず。私としてはこの本、神社総覧はすばらしかったと思う。基本資料編と各著者のご意見がしっかり分かれていてかなりの優れものでした。


日本「神社」総覧 (別冊歴史読本 事典シリーズ)

日本「神社」総覧 (別冊歴史読本 事典シリーズ)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新人物往来社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: ムック





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タグ:神社仏閣

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