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今井雅之さん、がんで舞台降板 [室町]

今井雅之、末期の大腸がんと告白「病には勝てなかった…」

出演予定だった舞台『THE WINDS OF GOD』を降板した俳優の今井雅之(54)が4月30日、東京・新国立劇場で行われた同舞台のゲネプロ前に会見を開いた。がん公表後、報道陣の前に初めて姿を見せた今井は「ギリギリまで自分の体と相談したんですけど、ドクターストップ、プラス自分でも舞台に立てない」と無念さをにじませ、病状が「末期がんのステージ4」だと明かした。


とのこと。どう言ったいいかわからないけど、役者さんにとって舞台を降板するというのは非常に辛い出来事だろうと思うとさらに言葉がない。でも、ちょっとお休みして、また別の今井さんを見せてください、など思う。

今井さんといえば、わたし的には「花の乱」の細川政元役が印象的な役者さん。


大河ドラマ 花の乱 完全版 第壱集 DVD-BOX 全5枚セット【NHKスクエア限定商品】

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  • 発売日: 2014
  • メディア: DVD



「花の乱」は、1994年のNHK大河ドラマ。

思うに、明応の政変をドラマで描いたことはこれしかないと思うので、今井さんは日本で唯一細川政元になった俳優さんではなかろうか?

細川政元は、明応の政変の力技によって、幕政を牛耳り、細川京兆家の全盛期を築いたかと思えば、京兆家の没落の種をまいた人のようでもあり、非常に評価の難しい人だし、その上人物自身もかなり変わった人のようでもある。

だから、どういう役作りが正しいのかまったく評価しかねる役なんだけど、今井さんはぱっと見朴訥に、でもかなり仕込みの入った演技をしていたように思った。細川京兆家の人間としてはあまりにも朴訥すぎるだろう、とか最初思ったのだけど、でも、やっぱりこの時代の特に武家出身者はそんなに公家然としてはいなかっただろうからあれでいいんじゃないかと、逆に細川勝元役の野村萬斎が素敵すぎだったんじゃないだろうかと考えたりもする。

しかし、野村・勝元 vs 萬屋錦之介の山名宗全とか、もうね、豪華すぎて豪華すぎて、その上、京マチ子(日野重子)が睨んで、草刈正雄(日野勝光)が陰謀企んで、市川團十郎(足利義政)が我関知せずで風雅に生きてるし、松たか子は天然お姫様状態で目にも鮮やかなデビューを飾るし、と、配役だけ見ても、なんでこんなことが出来たのだろうかと思うほど凄かった。

「花の乱」は本当に素晴らしいドラマでしたよ、ほんとに。ただ、あまりにも芸術的、ドラマ的、舞台的だったために、到底日曜8時にみんなしてみるドラマではなくてですね、ものすごい不評だったのを覚えている。

当座の評価、特にマスコミの評価ほどあてにならないものはない。


BS歴史館/京都炎上!応仁の乱 [室町]

BS歴史館 シリーズ 日本の転換点(1)
京都炎上!応仁の乱


応仁元年(1467)に勃発した応仁の乱で、京都は一面の火の海になった。この戦い、実は、時の室町将軍・足利義政と妻・日野富子との夫婦げんかが始まりだった。それが、なぜ天下を揺るがす大混乱になり、27万の兵士が、京都に集結して、西と東に分かれ、11年も戦いが続いたのか?さらに、この乱を境にして、現代日本人に連なる、暮らしや宗教観が生まれたといわれるのはなぜか?日本の転換点・応仁の乱を徹底分析する。
[NHKネットクラブ]
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=303-20131010-10-19421

出演者:渡辺真理,清水克行,童門冬二,小林恭二 語り】佐々木蔵之介

放送日時: 2013年10月10日(木)




感想

応仁の乱という名前をしならない日本人は殆どいない。日本史上屈指の重要項目だからこそ教科書はもれなく教えているといっていい。しかし、それにもかかわらず起った理由や勝敗の結果を知る人は非常に少ない。

登場人物も多く、かつ期間も結構長いために予想外の展開が続いたりするもんで、事態の推移を追うだけでも結構面倒くさい(その割にストーリー性は別にない)。だもんで、このあたりにフォーカスを当てたドラマは作られることは作られたが当たってはいない(童門冬二氏)。

さあ日本の明日が見えるぞって引っ張っていくようなドラマはない(清水克行氏)。

旗たてる奴もいない、イデオロギーを言うやつもいない。(中略)応仁の乱ってね、純文学なんですよ。登場人物がみんな自分のことばっかり考えてる(小林恭二氏)。

と出演者が番組冒頭で散々なことを言っているが、私としては何かこれって実にうまく言い当てていると思って笑ってしまった。

応仁の乱を巡っては、1994年に大河ドラマ『花の乱』があった。これは放映当時から名作だと思う人(私もその一人)がいる一方で、視聴率は当時最低だったと記憶する。その意味では確かに「あたって」おらず、また、ドラマの設定が日野富子、細川勝元等の内面を主体にしていっている部分が大きかったので、このへんもそういえば純文学的かもしれないとも思う。

さらにいえば、実際問題最後には誰も幸せになっておらず、応仁の乱が終結したところで確固たる室町政権が出来るわけではなく、むしろ長々と戦国時代に突入していく萌芽が既に見え、すべては夢幻のごとくで終わっていた(それはそれでドラマとしては良かった)。とてもとても日本の明日が見えるような話ではなかったが事実そういう時代なのだから仕方がない。


NHK大河ドラマ 花の乱 完全版 第壱集 [DVD]

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それにもかかわらず、この乱をきっかけとして京都にしか住んでいなかった公家が落ち延びたために地方への文化の伝播が促進され、どうしてこうなったのか不明だが妙に美的センスの良い足利家のおかげで現在の日本が伝統美として誇るような措置はこのへんで出来上がったことも間違いない。観光関係者がもれなく感謝すべき第一は足利家だろうと思う(戦前にはこの人たちを逆賊扱いしていたわけだけど、それってちょっと間違いじゃないかと私は思ってる。これについてはいずれ書きたい)。



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